浦島太郎remix

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むかしむかし、あるところに、浦島太郎という若者がいました。
浦島は海へ出てよく釣りをしましたが、肝心の餌はなく、いつも魚は釣れませんでした。

そんなある日、浦島がいつものように不作の釣りから帰ってくると、浜辺で子供達が騒いでいました。
何事かと思って浦島が駆け寄ってみると、そこでは子供達が小さな子亀をいじめていました。浦島はここは一つ良いことをして自分の気持ちを晴らそうとしました。

「き、きみたちぃ。ちょ、ちょっとそーそれはかわいそうじゃ、な、ないかぁ。」

浦島はなんとも情けない声で子供達を叱りました。子供たちは当然いうことを聞きません。

「わかった。じゃ、じゃあ、お金あげる。千円出してあげる。」

子供達は浦島の申し出を受け入れ、千円と交換に亀を浦島に渡しました。

「もう二度と捕まるんじゃないぞ」

浦島はそう言うと亀を海へ帰してやりました。

それから3日たった日、浦島がいつものように船の上でぼーっとしていると、「浦島さん」と呼ぶ声がしました。見ると水面に3日前に助けた亀がいました。

「あの時はありがとうございました。お礼に竜宮城へいらしてください。」

亀はそう言うと背中に乗るよう浦島に促しました。

「よしきた!ついに俺にも付きが回ってきた。」

そう言うと浦島は亀の背中にまたがり、竜宮城へと向かいました。すると途中で乗っていた亀は女性に変化しました。浦島太郎はびっくりです。

「君は女子だったのか!」

浦島は驚きと嬉しさで、思わずハグをしました。

2人が竜宮城へ着くと、それはもう美しい乙姫様が浦島を出迎えました。浦島はもうウハウハです。それからは竜宮城で贅を尽くしたもてなしを浦島は受けました。城の中には釣り堀があり、浦島が釣り糸を垂らすとすぐに魚が飛びつきました。

浦島は気分が高まり、それからずっと踊り子たちと一緒に踊り続けました。

しかしある時、浦島はハッと思い出しました。
「これならきっと地上でも魚が釣れるはず。そうしたら子供たちももう舐めた態度は取るまい。」

そう考えた浦島は乙姫に言いました。

「乙姫さま、今までありがとうございます。ですが、もうそろそろ家へ帰らせていただきます。」
「帰られるのですか? よろしければ、このままここで暮しては。」
「いいえ、わたしは帰ってすることがあるので。」

「そうですか。それな残念です。おみやげに玉手箱を差し上げましょう。」
「はて、玉手箱とはなんですか?」
「玉手箱は『時間』を封印する箱です。これを開けずにいると歳はとりません。決して開けてはいけませんよ。開けたら時が戻ってしまいますから。」

「わかりました。ありがとうございます。」
乙姫と別れた浦島は地上へと帰って行きました。

地上に戻った浦島は早速浜辺に行き、子供達を探しました。浦島はもう自慢がしたくてたまりませんでした。しかしどれだけ探しても子供達はいませんでした。子供達だけではありません、浦島が住んでいた家も、すっかり綺麗に無くなってしまっていました。

浦島はどうしたら良いかわからず、途方にくれました。そして思い切って玉手箱を開けて見ることにしました。すると中には見慣れない写真がたくさん詰まっていました。はてなんだと浦島が考えていると急に白い煙が湧いてきて、浦島は一気におじいさんになってしまいました。

「!?」

浦島が事態を飲み込めずにいると、「浦島さーん」と遠くから呼ぶ声が聞こえます。声の方を向くと、一人の白い服を着た女性がこっちに向かって歩いて来ているところでした。

「いかがでしたか、久しぶりの外は。空気が気持ちいいですよね。そろそろレクリエーションの時間なんで、帰りましょ。」

浦島はますます事態が飲み込めませんでしたが、次の瞬間、自分が何に困惑しているかも忘れてしまい、女性に寄り添われ、ゆっくり浜を後にしました。波打ち際では、数人の初老の男性が、若い女性らとビーチボールをしていました。